10/07/2009

GIANTKILLINGにおける、台形コマによる視覚の誘導、空間の強調について


通常、漫画は右上から左下へと読むようになっている。また、そのためコマの角が90度である四角形となっているのが普通である。しかしこのGIANTKILLINGには台形や斜めとなったコマが多用されている。このコマがどのような効果を生むのかについて述べたい。
このGIANTKILLINGはサッカー漫画であり、その試合中に台形マスといったものが多用されている。
それが右の画像(7巻p216)である。                                       無題
右端や、左端が広がっているようなマスである。この台形マスが多用されることによって視線の誘導、空間の拡張というものが起こっている。右の画像を例にとって見る。右の一コマ目ではボールが左足で右に蹴られている、そのボールの行き先と言うものが台形枠の広がりとともに空間を意識させる。この空間というのがこの漫画の分かりやすさをうんでいる。二次元が三次元へと変化している。そういえるのではないだろうか。そしてそのボールの進む空間というものは二コマ目へと通じる。そしてその二コマ目ではそのボールの行き先へ台形の広がりとともに視点が移動する。3コマ目も人物の視点の方へと空間がそして、一つ顔の描写というものを入れ、テンポのよさをうんでいる。4マス目もボールの進行方向へと空間を生み出している。そして5コマ目へとカメラ視点の移動、ドリブル方向への空間の広がりというものがある。これは、マス枠を効果線として使っているようにも取れる。また、枠内にセリフや解説といったものを省いている為にとてもテンポがよく読むことが出来る。視点の移動が、マス枠の通り誘導される。このマスの効果によって、このページは通常の漫画とは異なり左上から、右下へと読み進めることになる。
 また、台形マスによってカメラ視点の表現も行っている。
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上の画像の1.2コマや4.5コマ、左の画像(8巻p95)の一段目において、カメラ視点の移動というものが起こっている。左の画像の一コマ目はバックショットを写している。これによって二人の立ち居地と言うものが客観的に確認することが出来る。そして二コマ目に正面からの顔、そして三コマ目には顔のアップとなっている。そこのようにズームの作用が見て分かる。台形の広がりとともにズームという形となっている。このようにカメラのアングルのように視点の移動をスムーズに行うことが出来る。これにより、臨場感やテンポを生む。また、この視点の移動により、表情を詳しく捉えることが可能となり、登場人物の心情を理解しやすくなるという効果を生んでいる。4コマ目から五コマ目へとつながる際に、一回カメラをはずすことにより、より心理描写というものをより客観的に分からせると言う効果を生んでいる。このカメラワークという物によりドラマや映画を見ているような気にさせる。
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 テンポのよさをうんでいるのがコマの数を多くすること、そしてコマ内の言葉の省略である。サッカー漫画によくある、解説というものがまったくない。その分、カメラワークや見やすさといったものによって理解のしやすさを補っている。そしてこのテンポのよさによって、決めの大コマがきいてくるのである、その決めゴマに、瞬間のコマが出てくる。
その背景が右画像の左のページ一コマ目ように、効果線が無く、背景もないというようなコマである。これまでの書き込みのあるテンポあるコマの流れで、このコマに出くわすと、そこで一瞬時が止まったかのような錯覚を起こす。このように、テンポの良い小回りの中でこそ、この一瞬のコマの表現というものが可能である。上の画像を例に取ると、右一コマ目はあおりのコマでドリブルの方向そしてその方向への空間、各キャラの立ち居地を客観的に示しており、二コマ目は遠くのサポータの絵そして、三コマ目、四コマ目は監督のアップとカメラの移動をしている。そしてページ5コマではドリブルする登場人物の視点から見た選手というように全体としての視点というものが、だんだんと小さくなっている。だんだんと外側からだんだんと中央へとカメラワークの移動している。台形コマの先細りの形とともに視点も小さくなってきている。それをスムーズに行わせるための台形マスである。そして次のページではこれまでのコマの小ささとは対照的に大コマが出てくる。GIANTKILLINにおいてこのように、台形マスからのページをまたぎ、大コマで魅了させると言う形が多くでてくる。このきめコマともいえる大コマでは背景が真っ白である為、瞬間であることが強調されている。またこれによって印象が強められる。そして左二コマ目ではさらに視点のほうへとコマが広がることによって視点の先に空間が感じられるという効果がある。台形コマによってコマを集中させることにより、大コマによる決めと言うものがより視覚的に強調される。

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